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日常と非日常の狭間

 玄関の引き戸を開けるとこの空間が現れます。仕事や用事を終えて家に入る瞬間、日々の疲れや日常の忙しさが一瞬リセットされホッとするような場、気持ちが切り替わる場になることを願ってプランニングを行いました。坪庭内をよく見てみると、中央に数十個のガラスの塊が蛇行して配されています。これは、化粧砂利の穏やかな水面よりも、よりダイナミックな水の動きをイメージしています。今回使用したガラスの特性である、高い透過性、不揃いな形、不定の反射率は、水の流れを象徴的に表しており、空間を静謐な場所へと昇華させています。想像を進めていくと、ガラスの川を隔てて、右岸が現実、左岸が非現実と思うことはできないだろうか・・・。坪庭が目に入ってきた瞬間、坪庭を見ている間も、その「狭間」を行き来するような・・・。

 景石は、庭のリノベーションを行った際の掘削時に出てきた石を三石用いました。前述のガラスの塊も製品化されたものではなく、備前市で耐火煉瓦を精製する際に不純物として排出されたものです。材料に新たな活用の場を設け「再生」させる、モノにとっても切り替わる場となりました。

 この坪庭スペースは、軒がある+太陽光が入りにくいというあまり条件の良くない立地ですので、日陰や乾燥に比較的強い樹種を選定しました(残念ながら、枯死してしまった種もありました。)。生と死の狭間という生存競争の厳しさを学ぶとともに生き抜いている植物たちの「強さ」を感じる場所となりました。

Data

M HOUSE 日常と非日常の狭間

工種:ガーデン&エクステリア工事(リノベーション)

所在地:岡山市南区

竣工:2018年

施工協力店:(有)リビング建創、庭匠 隠れみの庭、Garden Belle

材料協力店:(株)LIXIL、東洋工業(株)、平尾物産(株)、佐藤園芸他

 

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