top of page

#005-04 体力の続く限りペダルを回す(直島その4)

 ベネッセハウスミュージアム周辺を見学した後は家プロジェクトが行われている本村周辺へ。その後、島に現代アートが来る前の象徴的公共建築群をサラッと見て宮ノ浦周辺へ。自転車ならではのルートで島を周遊し、最後に、余力は無かったのですがショートカットでもう一周。体力の続く限りペダルを回し続け直島を堪能しました。


 家プロジェクト内にある護王神社/アプロプリエイト プローポーションと杉本博司氏の別作品(数寄の家、HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION)もご紹介。続いて、「南寺」/バックサイド・オブ・ザ・ムーン(ジェームズ・タレル)、ANDO MUSEUM(設計:安藤忠雄、2013年)、「はいしゃ」/舌上夢/ボッコン覗(大竹伸朗)、直島銭湯「I♡湯」(大竹伸朗)へ。

護王神社。少し上ったところにある。

神社の改装に合わせて杉本氏が設計。本殿と拝殿は伊勢神宮など初期の神社建築の様式を引用。

別角度から。

地下へと延びるガラスの階段。光学ガラスを用いている。

地下室への入り口。撮影可能なのはここまで。

HOUSE VISIONにて。住友林業とのコラボレーションで生まれた。

テーブルやスツールの脚部に光学ガラスが用いられている。

展示会場がアスファルト舗装上だったため、植栽、特に地被類は適さない印象。苔の乾燥を防ぐため湿度を保つスタッフの努力が見られた。

南寺。木造建築は安藤忠雄の設計(1999年)。こここそ、体感しないと分からない場所。

作品を見るための長い列ができるときも。

ANDO MUSEUM。小さい。が、見ごたえあり。

内部は打ち放しコンクリートの限界に挑戦している。

はいしゃ。自由の女神像の大迫力は一見の価値あり。

I♡湯。本村ではないが宮ノ浦にある。今回、中には入っていないが実際に入浴可能。

 家プロジェクトは、上述の3軒(ANDO MUSEUMは本村にありますが、家プロジェクトには含まれません。)の他に「石橋」(千住博)、「碁会所」(須田悦弘)、「角屋」(宮島達男)、「ぎんざ」(内藤礼)の計7軒があります。ちなみに「ぎんざ」は曜日が決まっていて要予約ですので、まだ入ったことがありません。どれか気に入った作品だけを見るのもよし、まとめて全てを見るのもよしです。


 今やアートの聖地と化した直島ですが、1980年代までは多数の公共建築群が直島の象徴でした。現代のアートも素晴らしいのですが、少し前の建築物もかなりアートな感じで素晴らしいです。直島に来島した際はその両方を見聞き感じてほしいです。直島町役場(設計:石井和紘、1983年)、直島小学校(設計:石井和紘、1970年)、直島中学校(設計:石井和紘、1979年)。

直島町役場。北側のファサード。このデザインにOKを出した当時の町長に拍手。外部もそうだが、内部の議場はもっと驚愕らしい。

左奥の階段の開口部の輪郭は、仁和寺の「宝相華蒔絵宝珠箱」らしい。

南側のファサード。外壁はコロニアル張り。

さざえ堂や築地本願寺などの引用も。

直島小学校。石井氏の直島での最初の作品。この時26歳の若さ。

直島中学校。他に直島幼稚園、直島保育園などを設計。

 直島では、1992年にベネッセハウスがオープンしてから現代アートのムーブメントが起こり始め、1998年に家プロジェクトが開始されました。今までは福武書店(当時)が所有する私有地などを整備して、アート作品の展示を行っていましたが、家プロジェクトは元々ある直島の古い家屋などを改修・改装し、集落全体をアート化し、集落に住む人々をも巻き込みました。この一企業が発し続けた熱意が、島ごと巻き込む力となり周辺の島々にも波及していきました。豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島がアートの島に、その島へとアクセスする港として高松港、宇野港などもアート作品を身近に感じることが出来るようになりました。アーティストもその力に感化され宮ノ浦周辺、ベネッセハウス周辺、本村周辺に重複して作品を残しています。地中美術館のウォルター・デ・マリア氏の作品はベネッセハウス周辺に、ジェームズ・タレル氏の作品は本村周辺(家プロジェクト)にもあります。同様に須田悦弘氏、大竹伸朗氏、杉本博司氏の作品はベネッセハウス周辺と本村周辺(家プロジェクト)にもあります(大竹氏にいたっては宮ノ浦周辺にも作品があります)。更に宮浦港の海の駅なおしまを設計したSANAAの西沢立衛氏は、本村周辺で本村ラウンジ&アーカイブの空間デザインを行い、豊島で内藤礼氏とのコラボレーションした豊島美術館(2010年)を完成させました。SANAAのもう一人の建築家、妹島和世氏は犬島でアーティストとコラボレーションしながら多くの建築作品を残しています。2010年から始まった瀬戸内国際芸術祭は2013年、2016年と3年毎に来場者数を増加させ、更に充実した内容になっていくでしょう。今後は人の少ない期間をねらって直島以外の島も巡っていく予定です。

参考資料:「瀬戸内・直島アートの旅 ガイドブック」、「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」、「ポストモダン建築巡礼」他

​訪問日:2015年05月13日 13:30~

最新記事

すべて表示
bottom of page