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#013-03 再訪、万博記念公園(その3)

​ EXPO’70パビリオン(万博開催当時は鉄鋼館)を見学した後は園内を散策。夢の池(5枚)にはイサム・ノグチ作品が。​それ以外のイサム・ノグチ作品を#004-01 イサム・ノグチについてで紹介していますが、この時代の建築家+芸術家のコラボレーションがよく分かる作品をこの機会に紹介いたします。坂倉準三の建築とイサム・ノグチの作品が楽しめる神奈川県立近代美術館(1951年竣工、2枚)。中庭にノグチ作品が。もう一つは岡本太郎記念館(12枚)。坂倉準三が岡本太郎の自邸兼アトリエを設計(1953年竣工)し、現在は一般開放されています。

イサム・ノグチによる噴水塔群。博覧会当時は、6種9基の噴水が設置されたが、博覧会終了後、水中に「うず潮」を起こす噴水1種3基は撤去された。

手前が「惑星」、奥が「彗星」。

右から「コロナ」、「彗星」。黄色いキノコの様な「宇宙船」、円筒形の「星雲」、太陽の塔、「惑星」の計5種が残っている。

噴水が稼働している時の画像はあるが、今は稼動していない。実際見た人たちはその迫力に驚いたことだろう。

画像は無いが「月の世界」というイサム・ノグチの作品が他にある。次回は撮影し記録したい。

神奈川県立近代美術館。中庭の中央にイサム・ノグチ氏の「こけし」(1951年、神奈川県)が展示されている。

老朽化や耐震性の問題等から2016年に閉館。2019年6月、「鎌倉文華館鶴岡ミュージアム」としてオープン予定。良かった。

岡本太郎記念館。エントランス周辺部。

庭の中に様々な作品が。こちらは「犬の植木鉢」。

「若い太陽」、「坐ることを拒否する椅子」、奥に「めばえ」のミニチュアが。緑のモザイクタイルが渋い。

二階バルコニー部のグリーン色の手摺の造形が面白い。不定形の造形物と定形の造形物の対比。

「母の塔」、「歓喜 or 歓喜の鐘」等の縮小作品も。

室内も撮影可。オブジェや壁画の他に、「手の椅子」、「IRODORI ISU」、「坐ることを拒否する椅子」、といった家具も展示されている。

太郎のマネキン?フィギュア?「河童神像」、「歓び」、「こどもの樹」のミニチュアも。壁には「光る時計」が。窓際には「駄々っ子」というベンチもある。

寒河江市庁舎(設計:黒川記章氏、1967年)にある光る彫刻作品「生誕」が設置されている。

描かれているのか、いないのか、完成しているのか、いないのかは分からないが、奥に膨大な数の絵画が。

「IRODORI ISU」に金色の「太陽の顔」がドンっと置かれている。

テーブルの上には「若い時計台」、「神話」のミニチュアなどの面白い小物がたくさん。

今でも使われていそうな雰囲気。ゴルフバックもそのまま展示。

​ 噴水がある夢の池と太陽の塔の近くに、大阪万博開催時に使用された大屋根の一部(2枚)が展示されています。大屋根のデザインを担当したのが丹下健三氏、その丹下健三氏の研究室に所属していたのが、黒川紀章氏。そして大阪万博終了後の跡地利用の一つとして計画された国立民族学博物館(5枚)を設計したのが黒川紀章氏。色々なつながりを感じます。黒川紀章氏の作品(3枚)もこの機会に少し紹介いたします。

大屋根の一部。今は太陽の塔の背後にあるが、開催当時は地上30m、平面108m×290mという巨大な屋根で、太陽の塔(高さ70m)はそれを貫く形で据えられた。

丸形のジョイント(ボールジョイント、鋳鉄製)をパイプでつないだトラス構造で、スペースフレームと呼ばれた。この大屋根と太陽の塔の左腕はエスカレーターで結ばれ、空中テーマ館(設計:黒川紀章)などへ導いた。

国立民族学博物館。水盤がひろがる(見学時、水はなかった)メインエントランス。

設計は黒川紀章氏。1977年竣工。メタボリズムの思想に基づき、何度か増改築を繰り返している(79年、81年、83年、89年等)。

施設の中心にある中央パティオ「未来の遺跡」。外に出られないのが残念。

「未来の遺跡」その2。メタル色の円筒形は、室内では、ビデオテークという映像展示ブースになっている。

「未来の遺跡」その3。

門司港レトロハイマート。1999年竣工(設計:黒川紀章氏)。景観紛争が起こったが決着の方法が滑稽にみえた。

和歌山県立近代美術館。1994年竣工(設計:黒川紀章氏)。バブル期の予算で建設されたためか、凝った意匠となっている。しかし・・・。訪問時、カフェは閉館中。水盤に水は無く、さびしい感じが・・・。

和歌山県立博物館。1994年竣工(設計:黒川紀章氏)。和歌山県立近代美術館に隣接している。近代美術館、博物館共に規模は大きい。

 大きなイベント会場の跡地利用を目の当たりにすると、「夏草や兵どもが夢の跡」という句がどうしても浮かんでしまいます(そのイベントの熱量が大きければ大きいほど・・・)。太陽の塔が大幅に修復されクローズアップされ、商業的に成功している現状で、EXPO’70パビリオン、夢の池、国立民族学博物館を見てみると経年変化と商業的な差の大きさを感じます(意図や用途が異なる為、それぞれを同じ土俵に上げるべきではないかもしれませんが・・・)。何度かこのコラムで取り上げていますが、「建築物及びその周辺修景物そのものの価値と商業的な価値とのバランスをどうとるか?」は常に考えさせられる問題です。ここにある1970年代につくられた建築物等が、耐震補強等の修繕を行い継続利用する or しないの岐路に立たされた時、芸術的、学術的な重要性の他に商業的な部分も含まれるとすると、三つの中で取り壊される可能性が高いのは、残念ながら夢の池のイサム・ノグチ作品になりそうで・・・。園内を歩きながらそんなことを思ってしまいました。

 できあがったモノや空間が悪いというわけでもなく、利用方法も悪いわけではないのに何故かさみしい感じがするのは、訪れた日が冬の平日だったからかもしれません。


参考資料:「大阪万博-20世紀が夢見た21世紀」、「岡本太郎にであう旅 岡本太郎のパブリックアート」、「建築家坂倉準三 モダニズムを住む|住宅、家具、デザイン」、「CASA BRUTUS EXTRA ISSUE 新説・あなたの知らない岡本太郎」、「CASA BRUTUS EXTRA ISSUE 日本の美術館ベスト100ガイド」、「CASA BRUTUS No.133」、「藤森照信の特選美術館三昧」、「各種パンフレット+Web.」他

訪問日:2019年1月22日



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