#011 藤森照信展 自然を生かした建築と路上観察

​ 岡山市内から車で約2時間かけて広島市現代美術館へ。訪問三度目の今回は「藤森照信展 自然を生かした建築と路上観察」の見学が目的です。色々な楽しい建築作品を設計されているので、氏がどういった考えで作品を作り上げているのか?どういった手法で使用する素材に挑んでいるのか?などなど・・・。この展覧会を通じて、氏の独創的な考えに触れ、楽しみ、少しでも理解できればうれしいです。


 駐車場から広島市現代美術館へ(6枚)。続いて館内へ。「藤森照信展 自然を生かした建築と路上観察」はフラッシュ撮影をしなければ撮影OKですので、展示作品や図面も撮影させていただきました​。多治見市モザイクタイルミュージアム(3枚)、素材見本(2枚)、神長官守矢資料館(1枚)、浜松市秋野不矩美術館(1枚)熊本県立農業大学校学生寮(1枚)、ラムネ温泉館(1枚)、神勝寺 松堂(4枚)、ミュンヘン リーム計画(1枚)、タンポポハウス(1枚)、ニラハウス(1枚)、ストークハウス(鸛庵、1枚)、せん茶(2枚)、高過庵(1枚)、矩庵、一夜亭、玄庵、茶室 徹など(1枚)、東京計画2101(1枚)、ラ コリーナ近江八幡(2枚)。

広島市現代美術館。ゆったりとした階段から美術館を見る。建物の曲線と階段の曲線が同調しており美しい。

光と影のコントラスト。メタルの反射も良い感じ。

三角形の切妻屋根と上下の色分けが蔵をイメージしたかのよう。

駐車場の関係で大回りして美術館へ。道中は石積みと緑を感じる事ができる。

きびプラザ。岡山にある黒川記章氏の作品も紹介。広島市現代美術館が完成してから3年後の1992年に竣工。

広島市現代美術館と非常によく似た形に見えるが、こちらは広場を囲む回廊となっている。

美術館内へ。多治見市モザイクタイルミュージアム。建築模型を荒々しく仕上げた様が素晴らしい。

設計やデザインを行う者に勇気を与えるスケッチ画。

修正液で何度か書き直しているのが分かる。アナログな感じも好感が持てる。

今までの建築作品に使用した材料が並ぶ。中央の「炭付」の塩梅が良い。

芝屋根にも挑戦している。何十年後かの成果が知りたい。

神長官守矢資料館。藤森氏が初めて設計に携わった故郷の資料館。竣工は1991年。

浜松市秋野不矩美術館。世界初の裸足で作品を見る美術館。1997年の作。

熊本県立農業大学校学生寮。杉・桧・赤松・栗の四種の木材を適所で使用しているとのこと。不均質の良さ。2000年竣工。

ラムネ温泉館。白と黒のコントラスト。焼き杉と漆喰の妙。2005年竣工。

神勝寺 松堂。岡山から一番近くにある藤森作品。2014年竣工。

福山市に行く機会を得て、神勝寺を見学。初めて藤森作品に触れる。

削られた松丸太が並ぶ廊下。柱も壁も手触り感がある。

松堂全景。奥に見えるのが禅と庭のミュージアム「洸庭」(設計:名和晃平/SANDWICH、2016年)。ツネイシ恐るべし!

ミュンヘン リーム計画。今回の木製模型の中で最も気になった展示物。実現しなかったが、面白い。

タンポポハウス。本人が設計・施工した自邸。竣工が1995年なので今現在タンポポがどうなっているのか気になるところ。

ニラハウス。赤瀬川原平氏の自邸。主不在のこの家の現在も気になるところ。竣工は1997年。

ストークハウス(鸛庵)。海外(オーストリア)の作品も。2012年竣工。

せん茶。移動可能な茶室。キラキラ。

せん茶の中へ入ることができる。落ち着く・・・ことはない。

高過庵。体感してみたい場所の一つ(結構揺れるらしい)。因みに高過庵、低過庵、空飛ぶ泥舟、神長官守矢資料館は、かなり近い地域に集まって建てられている。

矩庵、一夜亭、玄庵、茶室 徹など。作品パネル、模型、実物大の復元等、見どころ満載。

東京計画2101。都市計画のブース。東京計画2101、卒業設計や100年後のグッゲンハイムなど。想像が膨らむ。

自由な曲線が行き交う様子、屋根の雰囲気など本物を見てみたい。

ラ コリーナ近江八幡。本物のコケも植栽して展示されている。

折角広島に来たので、広島市環境局中工場へ。藤森建築とは真逆に近いビシッ、パシッとした谷口建築。二回目の訪問です。

竣工は2004年(設計:谷口吉生)。ゴミ焼却工場とは思えない佇まい。

入口から直線で海まで抜けている。

近未来的な雰囲気に圧倒される。

光のある方(海側)へ導かれていくような感覚。

海側へ進んでいく中でゴミ処理のプロセスが見学できる。

更に進むとウッドデッキ+フレーム、海+空の空間が現れる。

海に面した公園側から工場を見る。

全景を眺める。やはりゴミ焼却工場とは思えない美しさ。

少し歩いたところに現れるエコアシス。直線の美しさ、潔さがある。同年竣工の香川県立東山魁夷せとうち美術館のアプローチで感じた感覚に似ている。

 ある著名な文化人の講演で「建築家の話、著作物は難解で、一般の方々にとってはあまり面白くない」という話を聞いたことがあります。藤森照信氏は講演を聞いても、著作物を読んでも、明快で面白く分かりやすいという印象です。勿論、近代建築史、都市史研究の第一人者として多くの業績を残されてきたので、難しくすることもできるのでしょうが、建築に携わっていない者にも理解できる様に、噛み砕いて表現されているのではないかと思っております。この企画展も分かりやすく、楽しそうで、建築って面白いんだよと言っているようでした。

 ​今回の展示で印象に残った物の一つとして、木製の建築模型が挙げられます。よく見る一般的な建築模型は二次製品(紙、段ボール、アクリル樹脂等)を用いているようですが、今回は木製の建築模型です。木製と言っても木の板を張り合わせて組み上げたのではなく、一本の丸太を削り出したかのような仕上がりの豪快な模型です(木彫りの熊やチェーンソーアートの様な)。この建築家の設計信条を表した、他で見ることがあまり無い振り切った建築模型です(個人的にはミュンヘン リーム計画が魅力的でした)。

 全作品を通じて、完成した建築物の仕上材がその後どういった変化をしていくのか?がとても気になりました。特に植物を扱った屋根と壁部分は維持管理の難しさがあるのではないかと感じました。個人邸 < 公共建築 < 商業建築の順で、維持管理費の捻出がしやすいように思われるので(あくまでも私見です)、ラ コリーナ近江八幡の植栽を施した屋根は、長く緑が保たれるのではないかと勝手に想像しています。多治見市モザイクタイルミュージアムでは、屋根の上にアカマツを植栽しています。その植え桝の大きさが300mmの立方体だと分かり、結構小さいけどどうなのか?最終、根はどこへ延びていくのか?植木鉢の様に植え替えることを前提としているのか?などが気になりました。ただ、藤森氏の建築物は、枯れてもよし、朽ちてもよし、それ全て味わい、違和感なし!と解釈できるので、変化も面白みとして捉えられるのではないでしょうか。

 藤森照信展の後に広島市環境局中工場も訪れました。設計は丸亀市猪熊弦一郎現代美術館や香川県立東山魁夷せとうち美術館などを手掛けた谷口吉生氏です。2005年に一度訪れていますが、その時も今回もビシーっとしていてしびれる佇まいでした(残念ながら見学者は少なめ・・・)。平和記念公園周辺も素晴らしいのですが、ここも海が近くてなかなか気持ちの良い空間です。多くの人々に是非訪れてもらいたい場所の一つです。谷口建築と藤森建築、今回は緊張と緩和の両方を体験する研修となりました。

参考資料:「藤森照信、素材の旅」、「ラ コリーナ近江八幡」、「藤森照信の美術館三昧」、「谷口吉生のミュージアム-ニューヨーク近代美術館[MoMA]巡回建築展」他

訪問日:広島市現代美術館と広島市環境局中工場 2017年10月3日、神勝寺 松堂 2017年12月10日

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