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#010-01 駆け足で巡る(大阪編)

​ 私の出身地は大阪府ですが、かなり南の地域です。しかも大阪を離れて20年以上経ちますので大阪出身と言いながら大阪のことをほとんど知りません。帰省時はあまり自由に動き周れませんが、今回、午前中のみ自由時間を得ることが出来ました。大阪城~堺筋~中之島周辺にかけて、猛ダッシュで色々と巡りました。

​ まずはじめは、大阪城天守閣(1枚)→旧第四師団司令部庁舎(1枚)→Halftecture 大阪城大手前(1枚)から大阪府庁本館(3枚)へ。

 続いて堺筋周辺を巡ります。三井住友銀行大阪中央支店(2枚)→高麗橋野村ビルディング(4枚)→オペラ・ドメーヌ高麗橋(1枚)→日本基督教団浪花教会(1枚)→芝川ビルディング(3枚)→日本圧着端子製造株式会社 本社(1枚)→綿業会館(2枚)→綿業会館新館(1枚)→フジカワビル(2枚)→生駒ビルヂング(1枚)→新井ビル(1枚)へ。

 最後は中之島周辺を巡ります。大阪取引所(1枚)→難波橋(1枚)→大阪市中央公会堂(2枚)→大阪府立中之島図書館(2枚)→大阪市庁舎(2枚)→日本銀行 大阪支店(2枚)→国立国際美術館(1枚)へ。

大阪城天守閣。1931年、復興天守第一号として竣工。鉄骨鉄筋コンクリート造。小学生の時に訪れてエレベーターがあったのを覚えている。観光客は外国人がほとんど。

旧第四師団司令部庁舎。1931年、天守閣の復興と共に竣工(設計:第四師団経理部)。2017年現在、改修中の為中に入れず、外観のみ撮影。

大阪城、大手門近くにある公衆トイレ、Halftecture 大阪城大手前(設計:遠藤秀平、2005年)。周辺の樹木にマッチしたトイレ。同氏の一連の作品、Halftecture 大阪城が数百メートル先にあったようだ。

大阪府庁本館。1926年竣工(設計:平林金吾、岡本肇)。堂々とした構え。

装飾も力強く美しい。

新庁舎が財政難で見送られたり、別場所へ府庁舎を移転する案が出たりと、紆余曲折を経た建築物。現在は手狭となり、近接の民間ビルなどに間借りされた分室が多くなっているとのこと。

旧三井銀行大阪支店(設計:曾禰中條建築事務所、1936年)。

正面のイオニア式柱頭と側面の柱頭との違いが面白い。

高麗橋野村ビルディング。1927年竣工(設計:安井武雄)。個性的でかわいらしいイメージ。戦後に6Fと7Fが増築されたため、意匠が異なる。

入り口周辺。月形の意匠が印象的で面白い。

全体は褐色のモルタル塗りで、瓦が使用されているのが分かる。

通りに面した南北方向は広いが東西方向は極端に狭い。上から見ると薄い長方形。

オペラ・ドメーヌ高麗橋。1912年竣工(設計:辰野金吾)。保険会社社屋 → レストラン → ウェディングへと変遷して現存している。

日本基督教団浪花教会。1930年竣工(設計:竹中工務店、設計指導:ヴォーリズ建築事務所)。オペラ・ドメーヌ高麗橋の南隣にある。隣接しているので同時に楽しめる。

芝川ビルディング。1927年竣工(設計:渋谷五郎、本間乙彦)。

様々な店舗が入り、堅実に管理運営されている。

玄関内部。内部もかわいらしい装飾がいっぱい。

日本圧着端子製造株式会社 本社。2013年竣工(設計:アトリエ キシシタ、マンゴーデザイン・アンド・アーキテクト)。角材を全面に使用した外観が印象的。

綿業会館。1931年竣工(設計:渡辺節、村野藤吾)。

エントランス周辺。戦前の日本外交の舞台にもなっている。

綿業会館新館。1962年竣工(設計:渡辺節建築事務所)。新館も素晴らしい。

綿業会館後、堺筋を北上中に発見してパチリ。フジカワビル。1952年竣工(設計:村野・森建築事務所)。歩けば素敵な建築物に当る感じ。

ガラスブロックが良い感じ。室内から光が射す雰囲気を見てみたい。

堺筋を北上中に発見してパチリ。生駒ビルヂング。1930年竣工(設計:宗建築事務所)。

新井ビル。1922年竣工(設計:河合建築事務所)。人気のパティスリーが入っている。

大阪取引所。1935年竣工(設計:長谷部竹腰建築事務所)。五代友厚の銅像と共に。

難波橋。1915年竣工(意匠設計:宗兵蔵、彫刻:天岡均一)。阿吽っぽいたたずまい。

大阪市中央公会堂。1918年竣工(設計:岡田信一郎、辰野金吾、片岡安)。岩本栄之助氏のエピソードが有名。

庇の意匠も特徴的で面白い。

大阪府立中之島図書館。1904年に竣工(設計:野口孫市、日高絆)。正面にそびえるコリント式柱頭が秀逸。

図書館側面。窓周りの装飾が美しい。

大阪府立中之島図書館と向かい合わせに建つ大阪市庁舎(こちらは裏面)。水平垂直ラインが荘厳な雰囲気を醸し出す。

正面。1982年竣工の四代目市庁舎(設計:日建設計、大阪市都市整備局)。

日本銀行 大阪支店。1903年竣工(設計:辰野金吾、葛西万司、長野宇平治)。大阪市庁舎と御堂筋を挟んで対峙する。

旧館と新館。新館は1982年竣工(設計:日建設計)。

国立国際美術館。竣工は2004年(設計:シーザー・ペリー)。地下に展示空間が広がっている。その後、あべのハルカスの設計監修へ。

​ 今回は午前中のみという限られた時間での名所巡りでした(頑張って計23箇所)。外観で最も印象に残った建物は高麗橋野村ビルディングです(1927年竣工)。かわいさもあり、型にはまらない大胆さもあり、東洋的でもありました。向かいにある三井住友銀行大阪中央支店が威厳に満ちた建物だっただけに、かわす、はずすを試みた印象があります。ただ三井住友銀行大阪中央支店の竣工は1936年で高麗橋野村ビルディングよりも後ですから、かわす、はずすは日本銀行 大阪支店(1903年竣工)、大阪府中之島図書館(1904年竣工)、オペラ・ドメーヌ高麗橋(1912年竣工)、大阪市中央公会堂(1918年竣工)などを意識したのかもしれません。因みに前述の大阪府中之島図書館を除く三つの建築物は東京駅の設計でも有名な辰野金吾氏が関わっており、三井住友銀行大阪中央支店も辰野氏とゆかりのある曾禰達蔵氏、中條精一郎氏が開設した曾禰中條建築事務所が担当しています。

 もう一つ印象に残った事は村野藤吾氏についてです。設計に関わった綿業会館は会員制社交倶楽部で外部も内部(入っていませんが・・・)も絢爛豪華。1931年の竣工で村野氏は40歳でした。綿業会館から東へ150m程歩いて堺筋を北上していたところ、ガラスブロックの素敵なビルを見つけました。とりあえずシャッターを切って、後で調べてみると村野氏の設計であることが分かりました。それがフジカワビルでいまでも現役の商業ビルです(1952年竣工、村野氏61歳)。岡山にある村野作品は、残念ながら高島屋岡山店のみです。竣工が1973年ですから、村野氏なんと82歳!90歳を超えても情熱は衰えず、亡くなられる前日まで仕事をしていたとの逸話もあり、ただただ驚くばかりです。

 今回の訪問はかなり駆け足となってしまいましたが、権力に屈しない反骨精神と粘り強く継続していく情熱を学んだ名所巡りでした。宇部の渡辺翁記念会館にいつか必ず行くぞ!という情熱を継続しつつ・・・

参考資料:「ぼくらの近代建築デラックス!」、「いいビルの写真集」他

訪問日:全ての施設 2017年8月26日



















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